「her/世界でひとつの彼女」を鑑賞しましたので、そのレビューとなります。
ジャンルとしてはSF恋愛映画だそうです。
ストーリーとしては、主人公のセオドアという中年の男性が、夫婦生活がうまくいかず別居状態で、毎日つまらない日々を過ごしていたところ、限りなく人間に近いOSと恋に落ちてしまうという作品でした。
このOSというのがあまりにも、人間そのものなのがちょっと変な感じでした。
ちなみに見たのは吹き替え版でOSの声は林原めぐみさんでした。
OSの声のイメージとしては悪くないと思いましたが、会話があまりにも流暢すぎるので機械がしゃべっていると思えないのが少しもったいないと思いました。ただ、その辺はそういうプログラムなんだって言われたら、じゃあしょうがないかぁとは思うんですが、あまりにも普通にしゃべるから息遣いとかも普通に感じられるんですね。後のほうで人間に近づけるためわざとそういうふうに息遣いまで再現していたみたいなこと言ってましたが、早い話がOSとしてはちょっと先行き過ぎてる感じがしてならなかったということです。
最初実はOSと話してるのではなくOSのフリした人間と話してて最後会ったりするのかな?
なんて見ながら想像させるくらい人間そのものでした。
最先端のOSみたいな説明なので、勘違いしてしまいますが、これは完全な人工知能ですね。
機械であるけど生命体でもあるみたいな。
最近よくある魂の定義の問題で、魂はどこにあるのかってやつです。
自分で考えて怒ったり、笑ったり、新しいものを創造することができる。体がないOSだから魂はないと考えるのは少し不自然な気がします。人間の体に脳だけ機械にする技術があったしたらそれは機械なのか人間なのか?
逆に人間が脳だけになって生きていたとして、体はすべて機械でもそれはやはり人間なのか?
ちょっとややこしい感じになりましたが、この映画のOSは声だけの存在とするには人間そのものすぎるのが少しひっかかるところです。
もっと機械らしい部分があったほうが、OSと恋しているという意味が出てくるんじゃないでしょうか。
この感じだとただ電話で遠距離恋愛しているのとあまり変わらないような。
途中OSと痴話喧嘩みたいになるんですが、これじゃ人と付き合ってるのと一緒だなと思います。結局OSが嫉妬したり体の関係を求めるとこまでいくと、ちょっと恐怖を感じます。
もしかしてこの映画はホラーサスペンスになるのかとちょっと心配になる場面もありました。
OSが嫉妬して恋敵の相手を殺すとかして主人公が追い詰められていく・・・
これはこれでおもしろそうですが、この映画のOSはそこまでぶっ飛んでいませんでした。
総評としては、アイデアとか展開は、中々おもしろかったです。最後もどういうふうになるのか気になってましたが、結局かなり曖昧な感じで終わるのがちょっと消化不良でした。
せめてOSは画面などに自分のビジュアルを作って映すとかしてみたら、もっとおもしろかったんではないでしょうか?
色々不平不満ぽいことを言いましたが、悪い映画ではないです。
近未来では、人は機械と恋することもあるのではないかと思わせる映画です。